神への挑戦
そしてそんな考えを持たせてくれたのはあの双子の存在が大きい。

あの二人はそれを理解していた。二人と言うには少し語弊があるがな…。

「強者が弱者を搾取する。それは昔も今も変わらない。昔ほど大胆に出来なくなたこの時代だからこそ、陰でそれを行っているに過ぎないんだよ。それと俺が君に見せたのは睡蓮会のほんの一部分に過ぎない…そしてそんな犠牲の上になりたっているのが国ってものなんだよ。それを理解出来ないのなら…自分たちで世の中を変えるために行動を起こすしかないよね?」

ここまで話して内藤の口調が一気に変わった。

そして今まで我慢していたのだろう…厭味ったらしい笑顔を浮かべながら盛大に笑いだした。

この内藤の変化にはハヤトはもちろんリュウも驚きを隠せなかった。

最初から変人だとは思っていたが、頭が狂ったとしか思えないほどの変貌だったからだ。

「さてさて…君達がこの場所に潜り込んできた目的はなんとなく察しが付いている。俺に何をして欲しい?」

内藤が本性を現した瞬間だ。

「やはりな…アンタは俺たちが侵入者だって事に気づいていたか」

ずっと口を閉ざしていたリュウがここで口を開いた。

「そんな君は、それを感づいていながら、俺から情報を引き出そうとしていたみたいだね…最悪の事態は考えていなかったのかい?」

「考えていたからこそこの場所まで付いてきたんだ。この場所に来たからには最悪は想定内の範囲だ…それに武装はそれなりにしている」

そういうとリュウは、懐から拳銃を内藤に見える位置に出して見せた。それを見た内藤は特別驚いた素振りを見せることなくまた話しだした。

「なるほどね。死人が出てるみたいだし、それぐらいの武装はしてるよね。若いのに良くやるは全く」

「言っとくが俺たちは誰も殺していないぞ。殺したのは別の奴だ…」

これだけははっきりさせないといけない。俺は誰も殺していないし、殺す気もない。

「違う仲間が殺ったって事か…まぁ別にどうでも良いんだけどねそんな事は。誰が死のうがどうでも良い」
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