神への挑戦
「この施設を見ればわかると思うけど俺は、医療関係の役職をしている日医に所属する者だ。正規の職員じゃないけど、それなりに地位は上の方に居る。そして俺の上役に居るのは日医の会長である内藤清次。俺の父親だ」

おいおい…。

こいつ自分の父親の情報を俺たちに教えやがった。

「まぁ親父が会長になる前から睡蓮会は日医と繋がりがあったから、必然的に睡蓮会の上役になっただけなんだがな。実質的な実務は俺が兼任しているよ。面倒な会議とかは仮病を使って欠席しているけどな」

なるほどな…。これだけ自由に動けるにはそれなりの理由があったって訳か。

大幹部の肉親なら、他の奴も文句は言えないだろうしな。

「後のメンバーは名前と顔だけしか知らないな。椎名製薬工業の会長である椎名会長。そして警視庁の副総監である岸村さん。それに最近後藤のじじいと入れ替わった加藤議員と、関東で最大の規模を誇る暴力団である国水会の大幹部の笹井さん。それに財団法人でもある宗教組織のトップである池上さんに、前検事総長の佐藤さんと東京弁護士会の会長である浅見会長…主にこの8人かな」

えと…つまりは。

「本当に網羅しているんだな」

各組織のトップと言ってもいいぐらいの人物だらけ。そんな奴等が一枚岩になっている組織にケンカを売っているのかジンは…。

というか結果的に俺もその一員になっているんだが。

「その通りだよ。まさに敵なしの完全包囲網さ。これだけの組織が裏で繋がっていれば何をやってももみ消せる。情報撹乱も余裕で出来るって事だ…そんな睡蓮会を相手に君たちに何が出来るんだ?ガキが手を出せる相手じゃないって事はわったろ?ここまで来た努力は認めるが、そこから先は完全な手詰まりだろぉよ」

不敵に笑う内藤に何も言えない俺とリュウ。確かに何の後ろ盾もない俺たちの手に負える相手じゃない…。

日本という国が敵なのだ。何の権力も持たない未成年が相手に出来る訳がない。

だが…。

「…なるほどな。想定内だ。その程度なら俺達でも倒せる」
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