神への挑戦
内藤がそう言うとリュウは、意味深な笑みを浮かべながら話しだす。

「睡蓮会をぶっつぶす…それも徹底的にな。アンタにとってはそれが一番都合が良いんだろ?」

リュウは何を言っているんだ?

内藤にとって睡蓮会が潰れる事に何のメリットがあると考えているんだ?

「口で言うのは簡単だ。具体的にどうやってそれを可能にするんだ?」

俺が思っている疑問には一切触れず、内藤はリュウに作戦の中身を聞くような言葉を返した。

「それは俺の口からは言えない。でもアンタが俺の願いを聞いてくれたら間違いなくそれは可能になる…俺たちはそれだけの準備もしてきたし、アンタ等睡蓮会はここまで俺たちの術中に全てハマっているんだ。それなりに説得力はあると考えてもらいたいね」

あくまで高圧的に話すリュウ。それを受けてか内藤も少し腑に落ちない表情をしている。

だがそれも演技なのだろう。口から出る言葉全てが胡散臭いこの男は、まだ首を縦には振らず、もっと多くの情報をリュウに求めてきた。

「交渉とは有益性が確実じゃないと成立する事はないものだよ。俺と手を組みたいのなら、それなりに誠意を見せてもらわないと俺も決断しかねるな」

「そうだな…ならこれでどうだ?」

そう言うとリュウはポケットから何かを取り出しデスクの上に放り投げた。それを見た内藤は少し驚いた表情を見せる。

「……これはPMレインか」

「そうだ。俺達はPMレインの製法を知っている。それに誰にも知られていない工場も確保している。ダミー工場はすでに睡蓮会に面が割れているが、いくつかの工場は誰にも知られずに隠し通せている。あんた等のネックはこれで一つ解消出来るはずだよな?」

PMレイン?

「何なんだその薬は?」

リュウが取り出したその薬を俺は知らなかった。この時初めてその薬の存在を知ったんだ。

「これは脳内麻薬抑制剤PMレインって代物さ。椎名製薬工業が開発した悪魔の薬さ」
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