神への挑戦
未成年は大人より罪が軽い。学校に進学していなければ、別に何かの責任を取らされる事もない…。

軽い懲役と、形だけの保護観察だけで、大量の金が手に入る。ろくな仕事もつけていない、中卒の未成年にとっては非常においしい仕事だ。

だがおいしい仕事には必ず裏がある。

大抵の奴は、最初は半信半疑でミストの事を、ネット上で調べてみるんだ。

するとどうだ…。

ミストを褒める、大量の書き込みがあるのだ。

麻薬の話は伏せてはあるが、この仕事に関して、知っている人間が見れば一目瞭然の書き込みが…。

そして、こうも書かれていた。

『期間限定の仕事だから、早い者勝ちだよ』

早い者勝ち…。

その言葉は、この仕事に興味があった人間からすれば、非常に危機を感じさせる言葉。

悩んでいる暇はない…。

金は欲しい。世の中は所詮金だ…金がなければ、生きる事も出来ないのだから。

少しの危険と大金…悩むほどの事ではなかった。

一人の人間が手を染めれば、後は芋づる式…。

仕事は勝手に、未成年の間に広まり、売人は増えて行く一方だ。

日本全国、一気に麻薬の売買に走る人間が出てきた。

そして…大量の未成年が捕まる。

それはそうだ。口コミで広がった、売人を捕まえるのなんて、警察にとっては朝飯前だからだ…。

だが、未成年の口からは、ミストのセリフは掴まっても出てこなかった。
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