神への挑戦

その理由は、販売をする上での決まり事でもあった…。

ミストの情報は外に漏らさない。捕まっても、嘘をつけと言われていたからだ。

そうすれば、金は保障されるし、『命の危険』を回避する事が出来るからだ。ミストから、話せば命の保障はないと言われ、そして金も払わないと言われれば、誰も真実を話すバカはいなかった。

完全にアメとムチ。

そして未成年が大量に捕まったのを最後に、ミストという組織は、この世の中から姿を消した。

気がつくと、書き込みがあった、掲示板も閉鎖していた。










「…ミストか。本当に、霧の様に現れて、消えたんだな。それにしてもよくこんな情報を手に入れる事が出来たねジャック。君もやるねぇ…」

「裏ワザを使ったからな…まぁ、少しばかり危険な橋を渡るハメになったが、無理した甲斐があったってもんだ」

エースとジャックは、ハヤトと一度別れ、この町で情報を探っていた。ハヤトは、この町が地元という事もあり、休憩もかねて里帰りさせたのだ。

「でも、こいつ等の目的が解らねぇ…これだけの人間を動かせる金があるのに、何でこんな金をばら撒く様な事をするんだ？金を稼ぐんだってもっと良い方法があるだろうに」

「俺も同感だよ。かなりの金を使っている…億はくだらないだろうね。これだけの金を使っているところを見ると、犯人は未成年じゃないのかもな」

可能性の問題をすれば、この『ミスト』という集団は、未成年じゃない可能性が非常に高い。それは、金の動きを見れば明らかだ…。

だが…。

「…って普通の人は思うだろうね。でも俺は、こいつらは未成年だと思う。ジャックはどうだ？こいつ等をどう思っている？」

「俺か？俺は、未成年の可能性は凄く低いと思っているんだが…自信はない。確定出来る条件がまだ揃っていないしよ」

自分の感性や犯人の心理を読むエースとは違い、ジャックは合理的な方法でしか、問題を解く事が出来ない頭だ…。そもそも、問題を解くのはエースの得意分野で、ジャックはネット上の情報を調べるのが得意分野だ。

その利害関係で、二人は相棒を組んで居る訳であり、ジャックはこの手の心理戦は不得意なのだ。