神への挑戦
「可愛い…着けて良い?」

マリコは袋の中身の代物を確認すると、ハヤトの腕を引張り、見上げる様にしてハヤトに話しかけた。

「お好きにどうぞ…」

ハヤトは、そんなマリコの視線を外しながらも、呟くようにそう答えた。

ハヤトがマリコにプレゼントしたのは、綺麗な装飾を施してあるブレスレットであり、マリコは自分の左手腕に、プレゼントされたブレスレットをつける。そして、その左手には、過去にハヤトがプレゼントした、お揃いの指輪も着けられていた。

マリコは、そのブレスレットをゆっくり観察した後、席から立ち上がり、ハヤトを腕に抱きついた。

「ありがとねハヤト。今日は、どこでも良いよ…ハヤトの好きな場所に連れてって」

上機嫌のマリコは、ハヤトの腕を掴むとそのまま、出口の方に歩きだした。ハヤトは、そんなマリコの様子を見て、少し眉間にシワを寄せた…。

だが、このハヤトの表情は、機嫌が悪い時の表情ではなく、少し困った時に見せる、ハヤトのクセであった。

「好きな場所な…まぁ、適当に考えておくわ」

ハヤトは、自分の会計を済ませると、店を出て、マリコと共に、賑わいを見せている町にくりだして行った。

夜の街は、今時の若者やスーツを着た中年、はたまた怪しい雰囲気を出した外国人と様々な人間で溢れかえっていた。

駅の近くでは、ナンパをしている男や、それを待っているかの様な、きわどい服装をした女など、ジャッジタウンではあまり見ない光景が広がっており、ハヤトの視線はそっちに集中していた。

そんな中…。

「ねぇ…なに色目使ってるのよ。あんな服装が好きなの?」

隣で、変わらずハヤトと腕を組んでいたマリコが、ハヤトに問いかけていた。
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