神への挑戦
紙に図面を書いている理由は、ハヤトやジャックに説明する為ってのもあるが、一番の理由は、自分に万が一があった時の為の、予備だ。

世の中何があるか分からない。

殺される可能性もあるし、事故で死ぬ可能性もある。この事件はジャッジタウンのマスターとチームを組んで、仕事をしているので、こうした物も用意しておかないといけないのだ。

エースはある程度、精密な図面を書きあげると、改めて考え始めた。

日本同時に未成年の麻薬事件が起き、今はおそらく沈静化している。そして、その裏には、ミストという組織が関係しており、その情報は今の所、触り程度しか手に入っていない…。

他の線の情報を上げれば、捕まった未成年の中には、自分等にはジャッジタウンの神がついていると話している人間がいる様だが、エースはその点に関しては、特には気にしていなかった。

その理由として、エースの中で、ミストがこの事件に関係しているという前提で考えると、この発言はかなり浮いているワードなのだ。

ミストの仕事の金を受け取る大前提の一つに、ミストの情報を流さないという物がある。それを考えると、わざわざ自分の組織に関係する情報を流すとは考えにくいし、警察の眼を欺くための嘘とも考えられるのだ…。

ただ、その点で一つ気がかりなのが、その浮ついた発言を、警察関係者の誰かが問題視し、その流れでジャッジタウンの上層部の人間に圧力がかかるまでに発展した事だった。

銀次やミツハルが捜査に動くぐらいに発展していると言う事は、よっぽどの事だ。エースにもそれぐらいの事は理解出来ていた。

だが、その点に関しては、銀次とランが調査している筈なので、エースはそこまで深く考えない事にしていた。エースが考えないといけないのは、ミストの詳細と、潜伏先の特定だからだ。
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