神への挑戦

だが、今のところ決め手がないのが現実だった。さすがのエースも、無から有は作れない…。

エースは、コーヒーを飲みながら、ジャックの情報を待っていると、自分の携帯が鳴り出した。

待ってましたと言った表情をしたエースは、自分の携帯を取り出し、ディスプレイを開くと、少し驚いた表情をする。そして、通話ボタンを押すと、少し明るい口調で、電話の相手に話しかけた。

「おいっすぅ。こんな時間にどうしたんだい？」

「悪いな…少し気になる事があってよ」

電話の相手は、ジャックではなく、地元待機を命じていたハヤトだった。エースの耳元には、若干の風の音や、喧騒なども聞こえ、エースはハヤトが外に居るのがすぐに解った。

「気になる事？どうしたの一体…」

「あのな…知ってたらで良いんだが、教えて貰いたい事があるんだ」

ハヤトの声音は、何か自身がないのか、珍しく躊躇したもの言いをしていた。

「はいよ…俺は割と物知りだから、ドンと聞きなさい」

エースは、少し楽しげな口調で、ハヤトに問いかけた。エースにしてみれば、ハヤトがこうして、わざわざ電話してまで聞きたい事に、若干の興味があるのだろう。

するとハヤトは、一呼吸置くと、静かにエースに聞いた。

「…見出生児って何だ？」

「っ……！？」

ハヤトの質問に、思わず声が詰まったエース…。

おそらくジャックが側にいたら、かなり驚いたであろう…。エースの今の表情を見たら。

「…知らないか？」

ハヤトは、返事をしないエースに再度問いかけた。エースはその言葉を聞き、我に返り、ハヤトに言葉を返した。