神への挑戦
ハヤトの言う通り、その双子の行動は不自然な点が見受けられる。本来、ジャッジタウンとは、子供達の現代社会の逃げ場として、機能している場所であり、個人の意志で、住んでいる人間が大半だ。

簡単に言えば、現実の世界では生活出来ない子供の逃げ場なのだ。そんな子供達が、いきなりジャッジタウンから姿を消した…。

どう考えても、その双子が先導し、ジャッジタウンから姿を消したと考えるのが妥当なのである。

「俺もそう思うんだ。アイツは、何を考えているかわからない人間ではあったが、俺の知る限り、自分のやろうとする事は、必ず達成する人間だ。そしてそれは、幾重にも張り巡らされた策略で、達成される…それと俺が一番気になったのは、さっき聞いた『未出生児』という言葉だ」

ハヤトの口から、再度『未出生児』という言葉が出た。

「アイツは、町を去る前に、俺に教えてくれたんだ。俺達は『未出生児』だって…。確証は何もないが、多分これに関しては、嘘をついていないと思う…アイツのやろうとしている事は俺には分からない…でも……無関係とは思えないんだ」

この時、エースの体には、身体が震えるぐらいの悪寒が走った。

もし、ハヤトの言っている事が本当だとして、もし、その双子がこの事件に関係しているとすれば…そう考えた結果、出た結論に身震いがしたんだ。

限りなく、ゼロに近い可能性…。

最悪の可能性。

『あの時』の悪夢の再来…。超危険因子。

「…ちなみに、その双子の名前は?」

違ってほしい結論。でもエースは、知ってしまった…。

エースは、ハヤトが言う、その双子の名前をハヤトに聞いた…。
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