神への挑戦

銀次の父親である前田さんは、そう言うと深いため息を吐いた。

「なるほどな。確かにその可能性もあるけど、あながちウソって訳でもなさそうだぜ？」

「ほぉ…この数日で何か解ったのか？」

前田さんは、銀次の言葉を聞くと、怪訝な表情をした。

「あぁ。エースの事、覚えているよな？アイツも今回の事件を調べてて、俺達と一緒に事件の事を調べているんだが、面白い事が解ったんだ…」

「お前の面白い事ほど、怖い物はないな…何が解ったんだ？」

銀次は、少し時間を置くと、前田さんに話した。

「三年前、ジャッジタウンの中学生地区に居た、ジンとゲンが、未出生児だという事が解ったんだ…。そしてそれは多分、間違いない…だろラン？」

銀次はここで、隣に居たランに意見を求めた。

「はい…俺は三年前に、あの双子の指紋や、顔の特徴などを調べ、身元を調べたのですが、その当時は何も解りませんでした。結局は、あの双子がジャッジタウンから姿を消した事で、調査を中止にしたのですが、もしあの双子が、未出生児だとしたら、納得がいきます。どんな方法で、調べても情報が出てこなかった理由が…」

３年前に、ジャッジタウンの中学生地区で起きた『LAN闘祭』では、外部からの人間による、偽装のレイプ事件が原因で、大規模な抗争が起きた。

そこで、マスターの人間を含め、ジャッジタウンに住む、全ての人間の身元調査を始めた訳だが、そこで引っ掛かったのが、当時、中学生地区に居た、ケンカ最強の双子の兄弟、ジンとゲンだった…。

どれだけ調べても、何も情報が出てこなかったのだ。

そこで、銀次と前田さんはその双子に対し、一つの懸念を抱いていた。

それが…。

「アンダーズチルドレンの可能性…限りなくゼロに近い可能性だったが、その懸念があった。なのに、俺達は、それを見逃してしまった」