神への挑戦
銀次は、言葉を噛み締める様に、そう言葉を述べた。

まだ、事件とこの双子が、線で繋がった訳ではない。だが、双子が未出生児だと言う事と、それを懸念しておきながら、見逃してしまったというのは事実だった。

銀次が、その時の自分の甘さに、何とも言えない不甲斐無さを感じていたのだ。

「…面白い話だろう?あの時は、後始末で忙しかったが、それは理由にならない…俺達の甘さが、この事態に発展したのなら、俺らは何としてもその、尻拭いをしないといけない。親父…俺達はこれから、『睡蓮会』の情報を調べる。良いよな?」

銀次は普段見せないぐらいの、真剣な表情をし、前田さんに話しかけていた。そして、前田さんはそんな銀次の覚悟を見たのか、銀次から目線を外し、また深いため息を吐く…。

「…無茶はするなよ。そして、行動を移す前に俺に必ず相談をする事…それを守れるなら、許可を出そう」

銀次は覚悟を決め、この事件に向き合う事にした。それは、この事件がもし、最悪方向に進んだ場合の、事を考えての決意だった…。












この状況はなんだ?

俺は今、どこに居る?

何で、俺はこんな物を持っているんだ?

むせ返る様な、血の匂いと、火薬の匂い…。

そして、俺の手に握られている…一丁の拳銃。

そして俺の目の前で、倒れている人間は…。

俺の良く知った人物だ…俺が……。

撃ったのか?

嘘だろ……こんなの嘘だ。

俺は…。

「…ぁあああっ!」
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