神への挑戦

ハヤトが、親友であるタケシを、ぶん殴りはすれど、殺す事なんてありえない。

ハヤト自身もそう思っている筈だし、今はどこに居るか分からない、タケシも、そんな事するタイプの人間ではない…。

それは解っていたハヤトだったが、どうも心の底から、こんなの夢なんだと、納得出来なかった。

それぐらい、この夢には、リアリティーがあったのだ。

普段の生活で、飛び起きるほどの夢を見るなんて、実際にはあまり起きない現象だ。ハヤトはそれを考えると、何とも言えない恐怖を感じていた。

そして、この日から、ハヤトは、自宅でエース達の報告を待ち、エースとジャックがミストの情報を調べ、銀次とランが睡蓮会なるものを調べる…。

そんな日々が、一週間ほど続いた時…。

ついに、調査に進展があった。

この日、ハヤトは、町の中を何気なく歩いていたのだが、携帯にエースから連絡が来たのだ。

その連絡を受けたハヤトは、エース達が待っている、ホテルの部屋に向かい、エース達と合流した。

「やぁ、ハヤト。待ってたよ…ちょっとこれを見てもらえるかい？」

エースはそう言うと、ジャックのノートパソコンに映し出されている、一枚の写真を見せた。するとハヤトは驚いた表情をする…。

「これは、ジンの白いコートと、ゲンの黒コートだ。着てる人間は知らんが、間違いない…」

パソコンに映しだされているのは、膝下に届くぐらいのロングコートを着た、若い人間の写真だった。二人とも、年齢は17、8歳ぐらいで、数人の不良らしき人間を引き連れ、何所かに向かっている最中の写真だ。

「やっぱりそうか。ハヤトに双子君の話を聞いた後、ミッツにその双子の種類を送ってもらって、ジャックに調べて貰ってたんだ。そして、この写真が見つかったんだよ…」