神への挑戦

エースの運転する車は、首都高速から降り、町中をゆっくりと進んでいく。

そして、エースの事務所があるビルに着くと、近くに借りている駐車場に車を止めると、エースだけ、ハヤトにちょっと待っててと言い、ビルに入って行った。

「…ジャックは行かなくて良いのか？」

ハヤトは、ビルに消えて行くエースを見ながら、ジャックに問いかけた。

「俺は別に行く用事がないからな。それにエースは、電話番している、女の子に給料でも払いに行ったんだろうしよ。俺の出番じゃないのさ…」

エースの事務所の従業員は、基本的にはエースとジャックの二人だけなのだが、大きい仕事が入った時だけ、電話の番をしてもらう為に、臨時のバイトを雇っているのだ。

普段からバイトを雇わない理由は、そんなに仕事が入ってこないからという、何とも悲しい物語があったりもする。

そしてエースは、１０分ほどすると、ビルから出てきた。

「お待たせしましたぁ…それじゃ行きますか」

エース達がまず最初に来たのは、例の二人組が写っていた場所だった。そして、三人は聞き込みを開始する為、この場所で個人行動を開始する事にした。






聞き込みは苦手なんだよな。

ガキ共は、俺にガン飛ばしてくるしよ…。

ハヤトは口に出さないまでも、不機嫌な表情で、町にたむろしている、若者に視線を送っていた。そしてハヤトは、自分が不機嫌そうな表情で周りに視線を送っている事が、ガンつけている結果に繋がっている事に気付いてはいなかった…。

ここで、見ているだけでは埒があかないと思ったハヤトは、暇そうにしている、同年代っぽい二人組の若者を見つけ、話かけた。

「ちょっと聞きたい事があるんだが、良いか？」

声をかけられた若者は、一瞬怪訝な表情をしながらも、ハヤトの言葉に反応する。

「…別にいいぜ。何が聞きたいんだ？」