神への挑戦
私用の携帯電話をしまい、もう一つの携帯電話を出す。これは、仕事専用の携帯電話であり、お得意様や便利屋などの電話番号が入っている携帯。

そして、その携帯電話の履歴から、一番新しい履歴を選ぶと、通話ボタンを押した…。

何回かコール音が続き、電話相手が出ることなく、留守電に移行したのを確認したエースは、少し悩んだ後、留守電を残す事にした。

「エースです。今日、少し時間取れないっすか？聞きたい事と、頼みたい事があるんですよ。連絡待ってまぁーす…小宮さーん」

エースは、何ともふざけた口調でそう話すと、電話を切る。そして、公園のベンチで一人時間を潰すかの様に、ふと目を閉じた。

それはまるで、昼寝をしているかの様に…。








場所は変わり、ハヤトは、ホワイトテイルズのシンと一緒に、とある場所に向かっている最中だった。

他のメンバーは仕事があるのか、ライブハウスに残ったままで、今はシンと二人きりの状態である。

シンは、ライブハウスの近くに止めてあった、黒いワンボックスをライブハウスの前に乗り付けると、ハヤトを車に乗せ、一般道を走っていた…。

「俺を何処に連れて行こうとしているんだ…そろそろ教えてくれても良くないか？」

ハヤトは、車の助手席に乗りながら、運転しているシンに問いかける…。

「…別に隠しているつもりはないんだが、言ったところで、言葉では解らない場所だから、言わないだけだ。簡単に言えば、カツミに会ってもらおうと思っているだけだしな」

カツミという名前は、ライブハウスに居た時にも聞いた名前だった。シンがハヤトを仲間に引き入れた時に出た、シンと同じくリーダー格らしき人物の名前だ。

そしておそらくその男は、シンと一緒に写っていた、黒いロングコートを着た、男に間違いないとハヤトは考えていた…。
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