神への挑戦

シンの運転する車は、商店街の道をゆっくり走らせていたのだが、細い路地にさしかかると、その路地に入って行った。

その路地は、車一台が通れるぐれいのスペースしかなく、日の光もほとんど入らないぐらい、視界の悪い場所だった。道筋も複雑で、車に完備しているカーナビも、正確な道筋を示さないぐらいなので、用のない人間は、絶対に通らないような道であることがよくわかる。

そんな道をひたすら進み、曲がり角を何回か曲がると、少し開けた場所に到着した。

その場所は、ところどころに鉄骨が置いてある、町工場の様な場所だった。何時作られたのか分からないぐらい、老朽化が進んでおり、大きな地震でもきたら、すぐに倒壊してしまうであろう。

シンは、その町工場の目の前に車を止めると、エンジンを切り、車から降りた。ハヤトは、シンが車を降りたのを見て、自分も車から降り、工場に入って行く、シンの後に続き、中に入って行く。

そして、ハヤトの目の前に広がる光景は、外の外装からは考えられない光景だった。

「これはっ…」

工場の中は、鉄臭い匂いではなく、自然を思わせる、青臭い匂いで満ちていた。綺麗に枠組みされた、畑が広がりそこには、解る人間にはすぐにわかる、植物が栽培されていた。

違う場所では、その植物を乾燥させ、違う場所では、その植物をタバコに加工する為の機械がある。

ハヤトはこの光景を見て、疑惑が確信に変わった。

「そうだ…これは、大麻だ。俺達は主に、ここでマリファナやハシシを加工して、販売している。ここ以外にも、全部で四つの工場で、栽培しているんだ」

シンは隠すことなく、ハヤトに説明した。そして、ハヤトの中で、シンの説明よりも、驚くべきことが他にもあった。

「お前の組織には、老人も居るのか…」

ハヤトが驚いた事…それは、この工場で働いている人間は、未成年だけではないと言う事だった。というよりも、此処に居る人間のほとんどが、ゆうに５０歳を超えているであろう、老人がほとんどだった。