神への挑戦
シンの登場により、騒がしくなった工場内。その騒ぎを聞きつけてか、一人の男がその場に顔を出してきた。

「結構速かったなシン。俺に会わせたい風変りな奴ってのは、そこに居る男なのか?」

その男は、黒髪の坊主頭で、左耳に複数のピアスを着けている男だった。黒いロングコートを着てはいるが、袖を肘までめくり、筋肉質な腕を見せている。

おそらくこの男がカツミなのだと、ハヤトは気づいた。写真の男と顔も一致している。

「そうだ。コイツが、今日俺達のライブハウスに来て、いきなり仲間になりたいと言ってきた男だ。名前はテツヤ、年齢は俺達と同い年の18歳で、ケンカの腕も相当たつと俺は思う…」

「ほぉ…そいつは上玉だな」

カツミは、面白いものを見るような目つきでハヤトに視線を送っていた。ハヤトはと言うと、そんなカツミの視線を受けながらも、ごく冷静に挨拶をした。

「テツヤだ。俺もシンのチームに入ったから、これからよろしくな…」

目の前のカツミという男の特徴を、つかむ様に観察をする。パット見の印象は、ケンカ自慢の、血の毛の多い男だと感じる男だ。視線からは、荒削りではあるが、殺気の様な雰囲気を出している。

ハヤトにはそう感じていた。昔の自分と同じく、誰かれ構わず殺気を振りまく人種。

振りまいている気はないのに、対峙した人間にそう感じさせてしまう、根っからの不良。その特徴と一致する人間だ。

「おう!よろしくな。シンが認めた人間なら、俺はチームに入る事に反対はしねぇよ。俺は、ケンカの腕が立つ人間は大好きだからな…」

カツミはそう言うと、笑顔を見せ、右手を差し出した。ハヤトはその握手に応じ、カツミの右手を掴んだ。
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