神への挑戦
そしてその波に恩恵を受けたのが、このシンやカツミが作った組織。

ブレックウイングスとホワイトテイルズなのだ。

「シンは納得した様だが、俺はどうも納得が出来ないな…まぁもう良いけどよ。これ以上、変な事聞かれるのも嫌だろうしな」

カツミはそう言うと、吸いかけのタバコを消し、イスから立ちあがる。

「これからテツヤは、シンの指示に従ってもらう。まぁ、詳しい話しはシンに聞いてくれ。俺はこれから違う工場に出かけてこないといけないんだ…」

カツミはそう言うと、事務所を出る。そして、工場内に居た、若い連中を何人か呼ぶと、そのまま工場を後にした。

残されたハヤトとシンは、そのまま事務所に残ると、シンから麻薬の密売の説明が始まった。

要約すると、シンが率いるホワイトテイルズが、主に密売を担当していて、カツミが率いるブラックウイングスが、製造と運びをやっているのだと言う。

この二つのチームの名前が分かれている理由は、一つに纏める事によるリスクを避ける為だ。チームを二つに分け、役割分担をしっかり決めておくと、その二つのチームの接点が少し拡散される。

すると、製造工場などの場所が、外に漏れずらくなるのだ。ある程度の地位に居る人間にのみ、場所を教え、言葉は悪いが、頭の弱そうな人間や口の軽そうな人間には、単純作業しかやらせない。

そして、このありきたりなチーム名も、特徴的な名前にするよりは、頭の弱い印象を周囲に与える事が目的なのだとシンは言った。

これらの説明を聞いたハヤトは、工場内をシンに案内され、色々な説明をされた後、シンの車に乗り、東京を目指して車を走らせた。

ハヤトは、この時、様々な疑問を抱えていたのだが、あえてシンに質問はしなかった。

突っ込んだ質問をして、ボロを出してはいけないと考えていたのもあるが、一度エースと作戦を練り直すのも悪くないとハヤトは考えていたのだ。

車内は東京に着くまで、会話はほとんどなく、二人は次の日に会う約束をして、解散した。
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