ミックスラブルス

俺はただ自分の思い過ごしであることはわかっているんだけど、花原さんに頼られているようですごく嬉しかった。

「本当にいいんですか?なんだか押し付けてしまったみたいで・・・」

花原さんはおどおどしながら言った。

「そんなことないよ、むしろ嬉しいよ、俺の思い過ごしだけどなんだか頼りにされてる気がしてさ」

俺は花原さんの誤解を解くために笑顔で笑って言った。

「本当に?」

花原さんが心配そうに俺を見ながら言ってきた。

「本当だよ、だから気にしないで、気にされるとお互いプレーしにくくなっちゃうからさ」

俺はそういってニッと笑って見せた。

「そうだね、ありがとう、じゃあお願いします」

花原さんもようやく笑顔に戻ってくれた。

「任せとけ、じゃあそろそろ行こうぜ」

俺は親指をビシッと立てて言った。

「そうだね」

そう言って花原さんは俺と一緒にコートに向かった。

俺たちが配置に着いて俺は相手が構えているかを確認してからサーブを打った。まずは様子見でスライスサーブを相手の正面に打ち込んだ。相手はバックで打ち返そうとしたが球はきれいな弧を描きながら相手のフォア側に曲がった。相手は何とかフォアハンドが間に合って打ち返してきたが、浅い球が俺の方に返って来たので俺は前にもうダッシュしながらジャンピングショットを相手の前衛の横に打ち込んだ。相手は球に追いつかずポイントが決まった。

「おっしゃあ、決まった」

俺は思いっきりガッツポーズをして花原さんめがけて親指をビシッと立てた。

「ナイスショット、すごいよ高畑くん、今のは本当にかっこよかったよ」

花原さんがとても明るい笑顔で近寄ってきた。

「ありがとう、今のは自信持って打てたよ」

俺はエヘンと胸を張りながら言った。

「そうだね、あんなの相当自信がなきゃ打てないよ」

花原さんはうんうんと頷いて言ってきた。


「ありがとう、この調子で頑張るからよろしく」

俺は笑顔で花原さんに言った。

「うん、頑張ってね、でも私も負けないからね」

そう言って花原さんは自分の配置に向かっていった。だから俺も自分の配置に向かった。

俺は相手が構えたのを確認してサーブを打った。