ミックスラブルス
今度は真ん中センターにフラットを打った。相手はうまく俺のほうに返してきて長い打ち合いになった。長時間のラリーはあまり得意じゃなかったからなのか俺が先にアウトしてしまって相手のポイントになった。

「15オール」

「ドンマイ高畑くん、次頑張ろう」

花原さんが俺を慰めてくれた。

「ごめん、そうだな、次頑張るよ」

俺は心配させないように笑顔で返事した。

「うん、一緒に頑張りましょ」

花原さんは笑顔でそう言って自分の配置に向かって行った。

「一緒に頑張ろう・・・か、そうだよな、ダブルスをやってるんだから少しは頼ったっていいんだよな」

俺は今まで独りで無理なプレーをしていたような気がした。だったらこれからは花原さんを信じて足を引っ張らないように頑張ればいいんだ。俺はそう思いながら自分の配置に着いた。

俺は気持ちを落ち着けてからサーブを打った。今度はあまり使わないツイストサーブを外側コーナーめがけて打った。相手は追いつこうとダッシュで球に近ずくが、ツイストサーブはスライス同様に横に大きく曲がるサーブであるかつ高く跳ね上がる球種なため相手のラケットが球に触れることなくサービスエースを取ってポイントゲット。

「30対15」

「おっしゃあ」

俺はあまりの嬉しさに大声を出して喜んだ。

「ナイスサーブ、すごいよ高畑くん、あれが高畑くんのツイストサーブ?」

花原さんが興味津々そうに俺に聞いてきた。

「そう、あれが俺のツイストサーブだよ、あんまり曲がってなかっただろ」

俺は自分のサーブがちゃんと曲がりきったと思えず納得していなかった。

「そんなことないよ、すごく曲がっててあんなの取れないよ」

花原さんは俺が苦笑いをしたからなのか気を使ってくれた。

「ありがとう、気を使わせちゃったみたいでごめんね」

俺は花原さんに気を使ってくれたお礼を言った。

「そんなこと気にしないで、私たちはダブルスのパートナーなんだから」

花原さんは自分の顔の横で人差し指を立てながらニコッと笑ってくれた。

「ありがとう、気を取り直して頑張るよ」

俺は気合を入れ直して花原さんに言った。

「うん、頑張ってね、私も遅れをとらないように頑張るから」

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