ミックスラブルス
その後俺たちは新入生が見学している中、一生懸命練習した。そして今日の最後はシングルスの試合ということになった。たぶん後輩にいいところを見せろと上島先生が気を使ってくれたんだろうけど。その効果があったのか、今日はなんだかみんなすごいやる気になっていた。

「よし、今日もいっちょ大暴れするか」

俺も周りのやる気に負けないように気合を入れた。

「お~い高畑、こっちに来てくれ」

少し他の奴の試合を見ているとコートの中にいる雷門部長に呼ばれた。おれはとうとう出番かと思ってラケットを持って走って雷門部長の元に向かった。

「はい、何ですか部長?」

俺は雷門部長の顔を見ながら言った。

「今日はこいつと試合をしてくれ」

雷門部長はそう言いながら俺がこれから試合する相手を指差した。俺は雷門部長が指差した先に立っている人を見てびっくりした。なんとその相手は俺と同級だけどレギュラーになるラインぎりぎりにいる奴だったが俺の苦手なタイプだったからだ。

「どうした、自分の苦手なタイプとの試合は嫌か?」

「え、なんで僕の苦手なタイプを知ってるんですか?」

俺は雷門部長が俺の苦手なタイプを知っていてかつこの輝龍高校にいる中で一番苦手な奴を選べたことにびっくりしてしまった。

「当たり前だろ、俺は部長として自分なりに部員のプレーを確認してるんだからな」

雷門部長はそう言っておれの肩に手をのせてきた。

「お前はこのタイプを克服すれば俺のライバルになるよ」

「なっ・・・」

俺は言い返そうとしたが、雷門部長はさっそうとコートから出て行ってしまった。

「まぁいっか、ならここで勝って雷門部長のライバルになってやる」

俺はそう決心して試合に臨んだ。

試合は最初は苦戦したが、相手がつないでくるだけであんまり攻めてこないことに気付いた俺はボレーで攻めるネットプレーで相手を走らせることにした。そして最後のゲームの40対30で俺はあることに気づいた。

「よし、このポイントを取れば俺の勝ちだ…最後まで集中していくぞ」

そう自分に言い聞かせながら俺はサーブを打った。

相手はつなぐのが得意なだけあって、呆気なく打ち返してきた。その後何回もラリーが続いてこのポイントは長期戦に突入した。

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