ミックスラブルス
「なんでこいつはこんなにつなぐのがうまいんだよ」

俺はそう呟きながら相手が打ってきたボールを打ち返した。だが次の瞬間俺はびっくりした。なんと俺より先に相手がリズムを崩して返球が甘くなって前に浅く飛んできたのだ。

「よっしゃあ、もらったぁ~」

俺は大声で叫びながらその相手が打ってきた球をジャンピングショットで決めた。

「よっしゃあ~」

俺は長いラリーができるようになったことにあまりにも嬉しくなって叫んでいた。

「ゲーム高畑、6ゲームストゥー4、Win高畑」

審判が俺の勝利を宣言して今日の試合は終わった。

「よくやったな高畑、どうやらお前の苦手を克服したみたいだな」

俺が嬉しそうにしていたら雷門部長が優しく微笑みながらで近寄ってきた。

「はい、でもまだまだ未熟ですよ」

俺は照れながら言った。

「そうだな、まぁ少なくとも俺のライバルとはもうそろそろ言えそうだな」

雷門部長がなんだか嬉しそうに言ってきた。

「そんなことはないですよ、雷門部長に勝つにはもっと努力しないといけませんから」

俺はもっと強くなりたいと思いながら言った。

「お前なら近いうちに俺と対等に打ち合えるようになるさ」

雷門部長はそう言って俺の肩に手をのせた。

「いつになるかは分かりませんが、絶対に雷門部長に勝てるくらいに強くなってみせます」

俺は真剣な気持ちで雷門部長の顔を見た。

「そうだな、その時は俺も遠慮なく本気で相手させてもらうよ、本気で挑んできている相手に手を抜くのは失礼だからね」

雷門部長も真剣なまなざしで俺を見返してきた。

「はい、その時の試合は真剣勝負でお願いします」

俺は拳を握って前に出しながら言った。

「おう、その時に俺の力でお前の成長を見届けてやるよ、覚悟しとけよ」

そう言って雷門部長はコートから出て行った。

「はい」

俺は大きな声で雷門部長の背中めがけて返事をした。俺は自分に自信を持てたがまだまだ甘い。これからも努力を惜しまずに頑張って絶対にあの後姿に追いついてみせる。俺はそう決心した。そして俺もコートを後にした。

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