ミックスラブルス

里中さんは俺たちを交互に不思議な眼で見ながら聞いてきた。

「いいけど、どうしたの？」

花原さんも何でいきなり里中さんが聞きたいことがあるなんて言ってきたのか不思議に思ったらしく、里中さんの顔を覗き込んだ。

「あの、先輩たちは付き合ってるんですか？」

里中さんが真剣な顔で俺たちに聞いてきた。

「え、そ、それは～・・・」

花原さんがどう答えたほうがいいのか分からず、俺に目で助けを求めてきた。

「俺たちはミックスダブルスを組んでいてね、だからある程度は仲が良いんだ」

俺は里中さんに変に思われないように冷静になって答えた。

「そうだったんですか？ミックスダブルスかぁ～、羨ましいなぁ～」

里中さんは寂しそうな顔をしていた。

「何で羨ましいの？」

花原さんは里中さんが何を羨ましがっているのかが分からず聞き返した。

「だって、こんなに優しい高畑先輩と組めるなんて試合中も守ってくれて、幸せだと思いますよ」

里中さんが悔しそうに花原さんにやきもちを妬いてきた。

「な、何を言ってるんだ里中さん、そんなわけないだろ、俺と組んだだけで幸せだなんてさ」

俺は正直そう言われて嬉しいけど、そんなわけが無いと思って否定した。

「そんなことないよ、私は高畑くんと組めてよかったと思ってるよ」

花原さんがいきなりカミングアウトしてきたからびっくりしてしまった。

「そうなの花原さん？」

俺は聞いてはいけないと思ってはいたが、本当なのかすごく気になってしまったから聞き返してしまった。

「うん、私は高畑くんと組めて嬉しいよ」

花原さんは笑顔で答えてくれた。すごく明るい笑顔だったからその笑顔を見て俺は嘘じゃないことを確信した。

「ありがとう、そう言ってもらえると頑張りがいがあるよ」

俺は嬉しくなって自然と笑顔になれた。

「やっぱりそうだったんですね先輩方」

里中さんは俺たちの会話を聞いてびっくりしたのかきょとんとしていた。

「ち、違うよ里中さん、俺たちはそういう関係じゃないからね」

俺は里中さんが勘違いしているのに気づいたから焦ってしまった。

「本当ですか～？」

里中さんはニヤニヤしながら俺の顔を覗き込んできた。