ミックスラブルス
俺が心配すると里中さんはそう言って俺に笑顔で言ってきた。俺は一瞬里中さんが俺たちに心配させないように無理に笑顔を見せているように思ったが、里中さんは足が震えるでもなくちゃんと立っていたので本当に大丈夫なんだと思ってホッと安心した。

「そこまで言うなら大丈夫そうだから今日は帰るか」

俺は花原さんに同意を求めた。

「・・・・・・・・」

「どうしたの花原さん?」

「あ、ごめんなさい、ボーっと考え事をしてしまって」

「そうだったんだ、まぁ誰でもボーっとするときはあるからいいけど。今日はもう帰ろっか、もう花原さんも疲れたでしょ」

俺は花原さんが何をボーっとして考えていたのか気になったけどそこには触れないようにすることにした。

「そ、そうだね、今日はもう疲れちゃったから帰りましょ」

花原さんはそう言って苦笑いした。

「そうと決まったら荷物を取りに行くか」

「そうですね、変える準備をしに行きましょう」

「そうだね」

こうして俺たちは荷物を取りに行って、今日の自主練習を終えた。

里中さんは校門を出てすぐ俺たちとは帰り道が反対方向だったからすぐに別れた。そして気づいたら俺と花原さんはいつの間にか二人きりになっていた。せっかく二人きりになったのに何も話さないで帰るのはもったいないと思って俺は花原さんに話しかけた。

「今日は色んな事があったね」

「・・・・・」

「花原さん、どうしたの?」

「え、あぁごめんなさい、またボーっとしちゃって」

花原さんはまた何かを考えていたのか俺の話を聞いていなかった。これまではこんなこと無かったから俺はすごく不安になってしまった。

「どうしたの?さっきから何考えてるの?」

俺は花原さんのことが心配になって一応聞いてみた。

「ううん、なんでもないの、たぶん疲れてるんだと思う」

花原さんはなんだか寂しそうな顔をしながらうつむいていた。だけど俺は花原さんの言ったことを信じてこれ以上の追求はしないことにした。

「そうなんだ、じゃあ家でゆっくり休んで」

俺は心配な気持ちでいっぱいになった。

「ありがとう高畑くん」

花原さんは答えてはくれたが顔を上げてはくれなかった。
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