ミックスラブルス

俺が普段と同じように学校で花原さんと上川さんに朝の挨拶をしていたら、いきなり後ろから何かがすごい勢いで近づいてきた。俺は後ろを振り返ってびっくりしたがもう遅かった。

「おっはよ～、ダーリン」

「ホゲッ」

気づいたときには明西さんにタックルと言っていいくらいの勢いで笑顔で飛びついてきた。俺はあまりに急にだったために不意打ちでみぞに思いっきりタックル（みたいの？）をくらって少しの間息ができなくなってしまった。

「おい、大丈夫か龍？」

「高畑くん大丈夫？」

「えっ明西さん？」

いきなり俺に飛びついてきた明西さんの大胆な行動に三人ともびっくりして開いた口がふさがらない状況だった。

「う・・・・・あ・・か・にし・さ・ん」

「あ、ごめんねダーリン、そんなに痛かった？」

俺は明西さんの勢いを支えきれず床に倒れてしまった。明西さんは俺が息ができていないのに気づいたのか笑顔で謝ってきた。

「え、ダーリンってどういうこと？」

上川さんが明西さんに不思議そうに聞いた。

「だって昨日私が大学生二人に絡まれてるところを高畑くんが助けてくれたんだもん」

明西さんは相変わらず明るく上川さんの質問に答えた。

「だから高畑くんはそんなに怪我だらけだったんだ」

花原さんは俺が怪我した理由に納得したのか、なるほどと思いながらうなずいていた。

「じゃあ今のはすごく効いたんじゃないか、な、龍」

「あ・・・あぁ、すごく効いた。」

光輝に答えていたら、ようやく声が出るようになった。

「えぇ、そうだったんだ～、ごめんね、ダーリン」

「だふぁら、だーふぃんってよふぅな」

明西さんが俺の顔を両手で強く挟んで左右に揺らしてきたから、はっきりした発音が出来ずに自分でも何を言っているのか分からなかった。しかも明西さんがすごい勢いで俺の頭を揺らすから、どんどん気が遠くなっていってしまった。

「だ・・・ダメだよ明西さん、そんなに揺らしたら高畑くんが気絶しちゃうよ」

「え・・・本当？」

俺の意識がだんだん遠のいているのに気づいてくれたのか、花原さんが明西さんに俺を揺らすのをやめるように説得してくれた。明西さんも花原さんに言われてすぐに俺を揺らすのを止めた。