ミックスラブルス
俺が頭をポリポリ照れくさく掻きながら言ったら、光輝は自分が情けないと思ったのかハァッと息を吐き出しながら肩を落とした。

「龍、試合に入ってくれ」

俺は急に上島先生に大声で試合に入るように言われた。

「はい、分かりました」

「それじゃあ光輝行ってくるな」

俺は笑顔で光輝に言って試合をするコートに向かった。

俺が試合をするコートに着くとすでに対戦相手がベンチに座って待っていた。俺はその相手を横目に見ながら試合の準備をした。

「あなたが輝龍高校の高畑ですか？」

「そうですけど」

俺が試合の準備をしていると俺の対戦相手が俺の名前を確認してきた。俺は急に聞かれたもんだから少し焦りながら答えてしまった。

「あなたの名前は何ですか？」

「俺の名は水村　翼。まぁいい試合をしようか？」

俺が丁寧に名前を聞くとなんだか嬉しそうにニヤけながら名前を教えてくれた。だけどなんだかそのニヤけが俺をなめているように見えて少しムッとした。

「そうだな」

俺は準備を済ませてコート中央に立っている水村　翼の正面にネットを挟んで立った。

「フィッチ」

「ラフ」

水村がラケットをネットの上に乗せてサービス権を決めるためにラフかスムースか聞いてきた。
だから俺は迷わずいつも通りにラフを選択した。すると水村はラケットを慣れた手つきで回してネットの上に再び乗せた。そしてグリップヘッドを俺に見せてきた。

「スムース、サーブで」

ラケットヘッドはスムースを表す向きになっていた。この時にラフかスムースのどっちかを当てた人が先にサーブを打つか、リターンをするか選ぶ権利を得る。だから水村はスムースを当てたから先にサーブを打つほうを選んだ。

「じゃあ早速始めますか」

「そうだね」

俺が振り返ってリターンする位置に移動しながら言ったら、水村もサーブを打つ位置に移動しながら言い返してきた。そしてお互いが配置に着いた。

「１セットマッチ、プレイ」

水村がサーブを打つ構えをしながら試合開始を宣言した。

まずは相手の様子を見ようと考えた俺は球をつなぐように打とうとした。しかし、水村のサーブはすごく速く重いフラットサーブだったから、そんな悠長な事はやっていられなかった。

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