ミックスラブルス
水村がスマッシュを決めて喜びの雄たけびを上げている中、俺は集中力を高めようと大きく深呼吸をした。

「このままだとまずいぞ」

俺は今のスマッシュを決められたことによってすごい危機感を感じていた。だからどうすれば勝てるのか対策を落ち着いて考え出した。しかし相手の弱点を見つけるのはそう簡単なことではないからすぐに対策が思いつくわけが無かった。

「30対15」

対策も思いつかないまま次のポイントが始まってしまった。俺は冷静にミスをしないように打ち返し続けて相手の弱点を探すことにした。ラリーは先ほどのポイントよりかも続いて長期戦に突入していた。

「長いなぁ」

俺はそうつぶやきながら打ち続けていたら今度はミスして浅い球を打ち返してしまった。しかしこのミスが俺に希望を与えてくれたのだった。

「くっ」

水村は前に出てきて打ち返してきたが打った球はネットに掛かった。この水村のプレーを見て俺は水村が低い球に弱いかもしれないと気づけたのだ。

「そうだったのか」

思わぬ場面でヒントを得て正直びっくりしてしまったがそんな暇も無くどうすればその弱点を狙えるのかを考えた。

「う~ん・・・そうだ、その手があった」

俺は名案を思いついてパチンと手を叩いた。

「30オール」

水村はカウントを言った後に再び得意のフラットサーブを打ってきた。だが俺はすでに4回もこのフラットサーブをくらってほとんど慣れていたから慣れた身のこなしで対応できた。今回は前に押し出しながら打って球の軌道を低い高さにしながらスライスショットを打った。これは先ほど思いついた作戦だ。

「うわっ」

水村は足元に飛んできた俺のスライスショットを下がりながら打ち返そうとしたが見事に空振りした。

「よっしゃあ、決まった。これならいける」

今の水村の空振りを見て水村の苦手な球は低い球だということが分かった。しかし問題はこれからだ。ずっと低い球だけで攻めているといつか低い球に水村が慣れてしまう可能性があるからずっと同じショットを打っているわけにはいかないのだ。だから俺は冷静に状況を判断しながら他の作戦を考えていこうと思った。

「こりゃあ長期戦になりそうだ」

俺は長期戦になる覚悟をして次のポイントに臨んだ。

「30対45」
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