ミックスラブルス

上島先生が大声で俺たちに試合に入るように言った。

「はい」

俺たちは大声で返事をした後、試合の準備をして上島先生のもとに向かった。俺たちが目の前で立ち止まると上島先生は試合の相手とコートを言い出した。

「相手はさっき高畑が相手した水村のペアとだ。２番コートで試合をしてくれ」

「はい」

「くれぐれも無理はするなよ」

俺たちが返事をしてコートに向かおうと方向転換をした時に上島先生が呟くように言った。

「はい、わかりました」

俺たちはそう返事をして試合をするコートに向かった。

「ねぇ高畑くん、いきなり当たっちゃったね」

「うん、そうだね」

コートに向かっている途中、隣を歩いていた花原さんがなんだか不安そうに言ってきた。正直俺も関東大会で準優勝しているようなペアと互角な試合ができるのか不安な気持ちでいっぱいだった。

「まぁ、当たっちまった以上やるしかないよ、最後まで諦めずにさ」

「うん、そうだね」

笑顔で自分にも勇気づけながら言ったら、花原さんも笑顔で返してくれた。そんな事を言っているうちに試合をするコートの上を歩いていた。対戦相手である水村ペアはすでに試合の準備をコート横のベンチで行っていた。

「俺たちも準備するか」

「そうだね」

そう言って俺たちも試合の準備を始めた。

「よし、準備OK」

「私も準備よし」

「じゃあ始めるか」

「そうだね」

そう意気込んで俺たちは水村ペアとネットを挟んで反対側に立った。そして前の試合と同じようにフィッチをしてをして試合を始めた。俺たちは二人で力を合わせて全力で水村ペアに挑んだ。

「ちくしょう～」

しかし結果は０対６の完敗だった。やはり関東大会準優勝は半端な強さではなれないことを見せ付けられてしまった。しかも最後は俺のダブルフォルトで失点してしまったのだ。俺はあまりに込み上げてくる悔しさによって大声を出していた。

「しょうがないよ、誰だってミスはするんだから・・・ね」

大声を出しながらその場に潰れた俺に駆け足で花原さんが近づいてきて慰めてくれた。しかし今の俺にはその慰めの言葉が余計に悔しさを増加させていた。