ミックスラブルス
何とかギリギリで教室に入った俺は一日中授業を受けながら今朝の明西さんの明るい笑顔のことばかり考えていた。そして今日の授業が終わった後いつも通りに部活に出た。今日の唯一の気がかりが前の聖城高校との練習試合以降未だに一言も話していないだった。そのせいかなんだか体が重く感じた。

「はぁ~」

大きなため息が自然と何度も部活中に出てきてしまった。正直な話今すぐ誤って仲直りをしたいところだがなぜか花原さんとの間に話しかけづらい空気が流れていた。

「どうすればいいんだ」

俺は頭を抱えたくなるくらい悩みながら部活をしていた。そのせいでいつもより動きが鈍くなってしまったのか、いつもより全然打てなくなっていた。テニスは精神面が強くないとできないスポーツだから今のテニスに集中できない状況ではしょうがないと思う。しかし、これほど部活に集中できなくなってしまったのは初めてだから正直どうすればいいのか分からなくなっていた。

「どうした高畑、調子が悪いのか?」

「雷門部長、そういうことはないんですが・・・」

「どうした、なんか悩み事でもあるのか」

厳しい球出しを終えて荒くなった呼吸を整えるために大きく深呼吸していたら、後ろから雷門部長が話しかけてきた。返事をしようとしたがどう返事をすればいいのか分からなくなってしまったから俯いて黙りながら考えていたら、雷門部長は心配そうに俺の顔を覗き込んできた。

「実は前の聖城高校との練習試合の時の失態をまだ引きずっているみたいなんです。」

雷門部長なら何かヒントをくれると考え聞いてみることにした。悩んでいたことを話すと雷門部長は静かになって真剣に何かを考え出した。

「そうだ、お前最近遊びに行ったか?」

名案がひらめいたのか、真剣な顔をしながら俺に聞いてきた。

「いえ、全然遊びに行ってないですけど」

「それだよ、高畑はいつもテニステニスばっかりだから知らない間にストレスとか疲労が溜まってるんじゃないか?」

遊びに行ってないと答えると雷門部長はやっぱりと思ったのか再び聞いてきた。

「そうなんですか?少なくともストレスとかはないと言ったら嘘ですけどあまり感じないですよ。あと疲労も疲れなきゃ練習じゃないと思っているので当たり前だと思いますけど」
< 61 / 97 >

この作品をシェア

pagetop