ミックスラブルス
雷門部長はいつも周りの部員の変化を見逃さず一人一人にアドバイスをしてくれるとテニス部の中で評判になっていて俺自身も何度かその助言に助けられたことがあったからすごく言葉一つ一つに説得力があった。

「遊びに行けか」

俺は一人で雷門部長に言われたアドバイスをぶつぶつ言いながら部活の練習に戻った。そしたら、悩みを打ち明けたからか気持ちが自然と明るくなっていっていいプレイができた気がした。そのまま今日は絶好調状態のまま部活が終わった。

「遊ぶって言ってもどうすればいいんだ」

俺は部室で制服に着替えて他の部員仲間に一言言ってから部室を後にした。

「あ、お疲れ様。ダーリン」

「明西さん、どうしたの?」

俺が独り言をぶつぶつ言いながら歩いていたら校門の方から明西さんがすごい勢いで俺に飛び付いてきた。俺ももういい加減なれたのかそのまま倒れずに立っていられるようになっていた。しかしなぜこんな部活をしてないと誰も残っていないような時間に明西さんが校門にいたのかが不思議になって俺はすぐに聞いた。

「今日はダーリンと一緒に帰りたかったの」

明西さんは笑顔でそう言いながら俺の左腕を抱え込むように抱き付いてきた。俺は離そうと手を動かした瞬間、明西さんの温もりが左腕から伝わってきてそれがなんだかすごく心地良かったから自然と気持ちが落ち着いていき離そうとしていた手も自然と元に位置に戻っていた。

「じゃあ一緒に帰るか」

「うん」

俺は明西さんと始めて一緒に下校した。俺は明西さんだったら分かるんじゃないかと思って部活の時に雷門部長からもらったアドバイスをどのように実行すればいいのかを聴いてみることにした。

「ねぇ、明西さん」

「なぁに?」

俺が名前を呼ぶと明西さんは俺の顔を下から見上げながら聞き返してきた。その時の明西さんの顔との距離があまりに近かったことにドキッとしながら俺は聞こうとしていたことを聞くために言い出した。

「明西さんって遊んだりしてる?」

「何で?」

「俺部活の時に部長から遊んで休めって言われたんだけど具体的にどうすればいいのか分からなくてさ」

「え、ダーリン遊びに行ったことないの?」

「正直にないんだ、遊びに行ったことは」
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