ミックスラブルス
何だか明西さんに俺が遊びに行ったことがないことをびっくりされた瞬間、やっぱり変なのかと思ったら恥ずかしくなってきて少し大げさに笑いながら答えた。すると明西さんはどうすればいいか考えてくれているのか、ん~っと言いながら悩み始めた。俺は明西さんが何か思いつくまで黙って待つことにした。

「あ、そうだ。ダーリンは遊園地とかに行ったことある?」

「いや、ないけど」

「じゃあさ、今週の日曜日暇?」

「あぁ、今のところは暇だよ」

「じゃあさ、今週の日曜日にデートに行かない?」

「デート?・・・・・デートって俺たち二人だけでか?」

「当たり前じゃん、二人で行かなきゃデートって言わないもん」

「そ、それはそうだけど・・・何でデートなんだ?」

「だって要するに遊びに行けってことなんだから一緒に遊びに行こうと考えたの。もしかして私とじゃ駄目?」

どういう答えが返ってくるかと考えてはいたけどさすがにいきなりデートに行こうって話になるとは思ってなかったからすごくびっくりしてしまってつい大声を出してしまった。正直今歩いてる場所が土手でよかったと心底思った。

「いや、いいよ。遊園地一緒に行こうぜ」

どう考えてもいきなりデートは無理だろうと思って断ろうとしたら明西さんのいい回答を期待しているような表情を見たらさすがに断ることができなかった。

「本当にいいの?」

「あぁ、いいよ」

「やったぁ、ダーリンとデートだぁ」

「馬鹿、そんな大声で言うな。恥ずかしいだろうが」

「あ、もしかして照れてるの?」

「な、何を言い出すんだよ。そんなわけないだろ」

「今絶対照れてた。かわいい~」

「馬鹿にするな。照れてなんかない」

「えぇ、正直じゃないな。素直じゃないとモテないよ」

明西さんは頬を膨らませながら上目使いで言ってきた。

「う、そういうことを言うな。本当にモテなくなっていそうな気がするから」

俺は自分でも思ってたことを言われて、胸に何かが刺さった感じがしてハァッとため息をつきながら頭を下げた。

「あ、ごめんね。まさかそんなに落ち込むとは思わなかったから」

「大丈夫。自分に呆れてるだけだから明西さんは悪くないよ」

「そう?なら慰めてあげよっか?」
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