ミックスラブルス
「一人で待つのは苦手かな。だけど誰か話し相手がいれば大丈夫だよ」

「そうなんだ~。なら良かった」

明西さんは何か経験があるのか安心したらしくハァッと吐き出した。

それから約25分間二人で他愛のない話をしていたら俺たちの順番がやってきた。

「それでは次に乗る方々は急がずに前にお進み下さい」

「お、俺たちの番か。じゃあ行くか」

「そうだね」

こうして俺は人生初の絶叫マシーンに乗ることになった。この時の俺にはとうてい絶叫マシーンの恐ろしさなんて分かるはずもなかった。

「ほらダーリン早く乗って」

「あぁ、分かってるって」

俺は明西さんに腕を引っ張られながら座席に座った。座った時に絶叫マシーンは怖いという話を聞いたことがあったのでもう後戻りはできないと覚悟を決めた。

「それでは発進します。存分に楽しんできてください」

そうアナウンスが入ってブザーみたいのが鳴った後にマシーンが前へと動き始めた。最初はゆっくりだったからぜんぜん怖くなかったがどんどん高いところに上がってきて頂点に着いて一瞬止まったかと思った瞬間、マシーンはレールに沿っていきなり急降下した。

「うわぁぁぁ~」

あまりのスピードの速さに圧倒されて自然と声が出てきた。マシーンが止まるまでただひたすら叫ぶことしか俺にはできなかった。

「ご利用ありがとうございました。またのご利用をお待ちしています」

「はぁ、楽しかったぁ。初めてのジェットコースターはどうだった、ダーリン?」

「すっごく楽しかったよ。二回連続は簡便だけど」

乗り終わった後、明西さんは満足そうな顔をしながら俺にも感想を求めてきた。俺はその質問に楽しかったことを伝えるために笑顔で答えた。

「よかったぁ、じゃあ次は何行く?」

「じゃあ次は明西さんが決めて」

「分かった。じゃあ次はお化け屋敷に行こう」

「お化け屋敷ぃ」

「そうお化け屋敷、早く行こう」

「あぁ、行こう」

このような感じに俺は明西さんに手を引っ張られながらお化け屋敷やコーヒーカップ、バイキングなどこの遊園地にあるほとんどのアトラクションを二人で楽しくをまわった。そしてそんな楽しい時間ももう夕方になっていた。

「ねぇ、次は何乗る?」

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