ミックスラブルス
しかし明西さんが言うには守るときに負けてしまってもその守るという気持ちが大切そうだ。

「そうなんだ。これまで女子の考え方を誤解してたよ」

「本当に分かった?重ね重ね言うけど女の子は好きな人に守ってもらいたいんだからね」

「うん、分かった」

「だからこれからもあの時みたいに私のことを守ってよ」

「え・・・」

分かったと答えると明西さんに少しうつむいてもじもじしながら守ってよと言われて、びっくりして言葉を失ってしまった。しかし、ただ黙っているわけにもいかないと思って俺でいいのか聞くことにした。

「明西さんは俺でいいの?前にも話したけど俺は花原さんが好きなんだ」

「うん、知ってるよ。だけど私は高畑くんにそばにいてほしいの」

何を言っても明西さんは諦めずに自分の思いを伝えてきた。その一言一言が俺の花原さんへの思いを迷わせる。もしかしたら花原さんと付き合うよりかもこのまま明西さんと付き合ったほうが幸せになれるかもしれないと。だけどやはり俺は欲張りなのか、花原さんの側にいたいし、明西さんの優しさも欲しいとどちらかひとつを選ぶことが出来なかった。

「明西さんには悪いんだけど、俺はどうしても花原さんを諦めることはできない。だけど正直明西さんの優しさも欲しい。自分勝手を言ってるのは分かってるんだけどこれが俺の本心なんだ。ほんと欲張りだよな」

「そんなことないよ。人間誰だって欲張りだと思うよ。だから人は時にそんな自分を嫌いになったり、その欲を満たせないとどうすれば手に入るのか悩むんだと思うの。私だって高畑くんの恋人になりたいし、それ以外にも一緒に遊びに行きたいとか一緒に食事したいとか他にもたくさん一緒にしたいこととか行きたい所とかあるもん。だからその考え方が普通だと思うの。」

「明西さん」

自分のことを欲張りだというと嫌われると思っていたのに予想外の解答が返ってきてあまりに驚いたせいか明西さんの名前を言うのがやっとだった。しかし驚きと共に明西さんの俺に対する気持ちも夕日を受けながらもまっすぐに俺を見ている瞳から本心であることが伝わってきた気がした。
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