ミックスラブルス

「まぁ、そういうことになるな」

「だけどあの明西さんが龍の相手かぁ、確かに明西さんは毎日のように龍にアタックしてたもんなぁ」

「確かにそうだけど俺はそのおかげでこの前の練習試合での失敗を乗り越えられたんだと思ってるよ。俺が落ち込んでるところを優しくしてくれたからさ。だから俺は側にいてほしいと思ったんだ」

「ふぅん。なるほどね。その理由なら納得できるわ」

どうやら部室の前を歩きながら高畑くんと中山くんが話をしているのを聞いてしまったらしい。二人の話を聞いて私は高畑くんが明西さんと付き合いだしたことを知って一瞬にして高畑くんを取られたという絶望の波に飲み込まれてしまい、後ろにあったベンチに座って俯いたまま動けなくなってしまった。ただ高畑くんを先に取られたという寂しさから涙が止まらずに次々と床に落ちていった。

「どうして？どうしてそうなっちゃうの？私が高畑くんのことを嫌いになるわけないじゃない。というか好き過ぎて嫌いになんてなれないよう」

今日高畑くんと仲直りしようと思っていたのに高畑くんが明西さんと付き合いだしたという話を聞いてしまったせいでどうすればいいのかわからなくなって目の前が真っ暗になった。私はそのままずっとその場を動くことができないまま涙を流し続けていた。

「遅いぞりさ、どうした？」

だいぶ時間が経っても私がぜんぜん部活に姿を現さないことを心配してくれたのかさやが部室のドアを開けた。

「私どうしたらいいの？もうわからないよ」

「えっ、どうしてそんなに目が赤くなってるの？」

私はまだ混乱していてその後再び泣き出してしまった。さやが泣いている私にわけを聞こうとしたけど落ち着くことができず答えれなかった。

「大丈夫？落ち着いた？」

それから少し時間が経ってようやく落ち着いてきた私にさやが心配そうに聞いてきた。さすがにこのまま黙っていたらさやに悪いと思って深呼吸をして気持ちを落ち着かせた。

「あのね、さやが部室を出てった後部室の前を高畑くんと山中くんが通ったの。そのときに高畑くんが明西さんと付き合いだしたことを聞いちゃってそれで寂しくなって自然と涙が出てきて止まらなかったの」

「ふーん、なるほどって高畑くん明西さんと付き合いだしちゃったの？」