ミックスラブルス
「明西さんが高畑くんの所に行かないように時間稼ぎができればいいんだけど、今の状況だと明西さんが他を優先するとは思えないし」

「うん。だから明西さんが来ることを知ってる高畑くんも明西さんが来るまでどこにも行かないで待ってると思うの。高畑くん優しいから」

「そうだね。どっちかを連れ出せればどうにかなるんだけど厳しいね」

「うん」

そのまま私たちはずっと黙って考え続けた。そして約5分くらい経ったかなというところで笹本君の携帯が鳴り出した。笹本くんは慌てて電話を切ろうとした。

「ちゃんと電話には出てあげて」

「うん。分かった」

私が出るように勧めると笹本くんは切ろうとした手を止めて周りに音が漏れないように手で携帯を覆いながら電話に対応した。少しの間電話の相手と話して電話を切った。電話を切るなり困った表情をしながら私を見てきた。

「今家から買出しを手伝ってって電話が来ちゃったから帰らなきゃいけなくなっちゃった。急にごめんね。まだ悩みの解決策も思いついてないのに」

そう言いながら笹本くんは両手を顔の前で合わせながら申し訳なさそうに頭を下げてきた。

「大丈夫だよ。笹本くんに話したおかげで少し気持ちが楽になれたから、だから気にしないで。また学校とかで状況を見ながら相談してもらえれば大丈夫だから。学校でもお願いできますか?」

「こんな役に立てるかわからない俺でよければ協力するよ。まだ解決策も出てないわけだし」

笹本くんが相談できなくなってしまったことに罪悪感を抱かないように笑顔で感謝して、これからも相談相手をお願いしますと素直な気持ちで話した。すると笹本君はすんなりと私のお願いを聞き入れてくれた。この時なんだかすごくこれまで悩んできたことが解決できると安心していました。

「そんなことないよ。笹本くんだからこそお願いできるんです。だからそんなに自分のことを悪く言わないで下さい」

「そ、そうなのか?自分じゃあよく分からないけど花原さんにそう言ってもらえて嬉しいよ。ありがとう」

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