ミックスラブルス
笹本くんが誰を待っているのか気になったので声をかけてみたら、昨日の相談の続きをしようと私のことを待ってくれていたことを聞いて私は待たせていたことを申し訳なく思ったが、俺が勝手に待っていただけだからと少し照れながら言われてこれ以上何も言えなくなってしまった。

「うん、ありがとう」

「どういたしまして。じゃあこんなところで話してるのもなんだから学校に入ろうか」

「そうだね」

そう答えて私たちは校舎に向かって歩きながら昨日の相談事の続きを話していた。それからというもの、学校内で笹本くんとも一緒に行動をするようになっていった。そして相談事が解決しないまま5日後、私は笹本くんがどんな思いで私に接してくれていたのかを知ることになる。

「じゃあ帰りは校門で待ち合わせでいい?」

「うん、わかった」

今日一緒に帰る約束を笹本くんにとしながら部活へと向かった。今日の部活も高畑くんとは一言も話すことなく終わってしまい、一人少し落ち込みながら校門で笹本君を待っていたら、遠くから聞きなれた声が聞こえた。

「ねぇねぇダーリン、今日はどうする?」

「今日はまだ行ったことのないクレープ屋にでも寄ってくか?」

「うん行く。クレープクレープ」

「馬鹿、そんなに引っ張るな。転んじまうじゃんか」

「転んでいいよ。私がちゃんと受け止めるから」

「いや、明西さんじゃあ俺を支えられないでしょ」

「そうだね。その時は大きな声で高畑くんに押し倒されたって叫ぶから大丈夫だよ」

「いやそれ全然大丈夫じゃないから。そんなことされたら俺が他の奴らに殴り殺される」

「えへへ、冗談だよ。それに私のことは輝実って呼んでって前から言ってるよね。いつになったら輝実って呼んでくれるの?」

「さすがにその呼び方は恥ずかしいし他の男子の視線が痛いからこれ以上は」

その声の主は高畑くんと明西さんだった。どうやら高畑くんも部活が終わった後に明るい西さんと帰る約束をしていたらしい。二人は私がいることにまったく気づかないまま目の前を通り過ぎていった。その時私の目に二人が手を繋いで笑顔で話している光景を見てしまい、そのせいで私はここにいるのにとすごい寂しさに襲われてその場で俯いた。

「どうしたんだそんなに落ち込んで?」
< 85 / 97 >

この作品をシェア

pagetop