ミックスラブルス
告白を断ろうとすると徐々に笹本くんは手を掴む力を強めながら私の眼をまっすぐ見て私への思いを真剣に伝えてきた。そんな笹本くんの私に対する思いを聞いていると、段々私の中で高畑くんを取るか笹本くんを取るかの葛藤が徐々に激しさを増してきてどうすればいいのか分からなくなってしまった。だから私は自然と大きな声を出しながら笹本くんの手を勢いよく振り払っていた。

「いやって」

「急にごめんなさい。すぐには決められないから考えさせて、お願い」

いきなり大声を出されて驚いている笹本くんに私は正直にまだ決められないということを言って時間をくれるように焦って頭を下げながらお願いした。

「大丈夫、今ここでとは言わないから真剣に考えてほしいから」

「うん分かった。ありがとう、じゃあ私はもう行くね」

「あ、花原さん」

笹本くんは私に本当に真剣に考えて欲しいのか考える時間をくれた。だけどこのままここにいるのは笹本くんの気持ちにはっきり応えられないのがきまづかったので俯きながら先に変えることを告げて、とにかく家に向かって走った。背後から私を呼んでいる笹本くんの声が聞こえたけど振り返りもせずただひたすら走った。早く落ち着いて状況を整理して答えを出すために。

「どうすればいいんだろう」

家に着くなり自分の部屋に直行して布団に倒れるように上を向いて寝転んだ。笹本くんと高畑くんのどっちを選ぶべきなのか部屋に着いた今でもまだあまりにも急だったために気持ちの整理がついてなかった。

「明日からどう接すればいいのかな。あんなことがあった後だとすごく話しかけづらいな」

この日はこのままベッドの上で少しの間ぶつぶつ独り言を呟き続けた後、最終的に答えはまったくでないまま明日に備えて寝ることにした。

翌日からは笹本くんも私もお互いの気にしてしまい話もしないまま３日間が過ぎていった。３日間あったにもかかわらず、私はまだずっと悩んでいてはっきりとした答えが出なかった。しかし４日目の放課後、私を決心させる出来事が起きた。

放課後、部活も無事終えて帰ろうと思ったのだが教室に親に渡さなければならないプリントを置いてきてしまったことを思い出して、仕方なく教室に向かった。教室について自分の机の中からその忘れていたプリントを取って鞄にしまって帰ろうとした時。
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