ミックスラブルス

高畑Side 花原のためらい・明西の涙

翌日、俺は朝登校して教室に入るといきなり光輝が俺の肩を両手でガシッと掴まれた。

「龍大変だ」

「いきなりどうしたんだよ。何があった？」

「花原さんに彼氏ができたらしいぞ。さっき本人から聞いた」

光輝から花原さんに彼氏ができたことを聞いた瞬間、一瞬目の前が真っ暗になってしまった。まさか花原さんに彼氏ができるとは明西さんには悪いけど先を越されたと思った。

「そ、そうか。ついに花原さんにもね」

「これで４人全員春が来たな。今度トリプルデートでもするか？」

「いや俺は遠慮しとくよ」

そう何気なく光輝に言って自分の席に向かった。ついに花原さんに彼氏ができてしまった。まだ謝ってもいないのにこのままでは今後花原さんとは全く話さなくなってしまう。早く謝って仲直りをしなくては、と俺はすごく焦っていた。一体彼氏って誰なんだ？何で花原さんは付き合うことを決めたんだ？朝っぱらから俺の頭の中は授業中より考え事でいっぱいになっていた。

そして何もわからないまま今日の部活の時間になっていた。

「花原さんの彼知って一体誰なんだ？」

部活中も周りをきょろきょろして誰か覗いてないかと気にしていた。無論部活に集中することなどできず何度も失敗した。

「どうした高畑、しっかりしろ。怪我するぞ」

「はい、すいません」

もちろん部活に集中していなければ雷門部長に注意をされてしまう。今日の俺は何て情けないんだ。しかしそんなことはどうでもいい。ある意味よくないが、今は花原さんの彼氏が誰なのかが気になってしょうがない。そんなことを考えていたら部活はあっという間に終わった。

「はあ～」

帰るために制服に着替えながら考え事をしすぎて頭が疲れ果ててしまったさいか、自然と大きなため息が出てきた。他のみんなはもうすでに着替え終わっているのに俺はまだ着替え始めたばかりだった。

「花原さんに直接聞けば一番早いんだけど、あんなことがあった後だから話しかけるのが今だに気まずい」