ミックスラブルス
「突撃じゃないもん」

「そうかもな」

後ろから菜々が強く言い返してきたが振り返らず一言だけ返した。どうやら菜々は後ろで再び膨れているようだ。しかし前々からこんなやり取りは何回もしていたから俺は気にせず自分の部屋に入って部屋着に着替えた後、夕飯を食べて風呂に入って今日は早めに寝た。これ以上考え事をしたら頭から湯気が出てしまうと思ったからもう休もうと考えたのである。

翌朝、普通に学校に登校して普通に授業を受けようと思っていたのだが、やはり一度花原さんを見てしまうとどうしてもどうすれば仲直りできるのかを考えてしまう。そのため授業にはぜんぜん集中できず、数学では問題をとくのを忘れて回答がすぐにできなかった。

「はぁ～、何やってんだか」

「どうしたのダーリン」

今は昼の掃除時間俺は一人でぶつぶつ言いながら廊下を箒ではいていた。すると後ろから俺の独り言を聞いていたのか明西さんが心配そうに聞いてきた。

「ただの悩み事だよ。大丈夫」

「大丈夫ってそんな態度してたら説得力ないよ」

「うっ」

適切な指摘をされて何も言えなくなってしまった。さすがはいつも一緒にいるだけはあってだんだん指摘された部分が言い返せなくなってきた。

「悩み事なら私に相談してよ。私はいつでもダーリンの味方だよ」

「そうか、ありがとう。じゃあ早速一人で悩んでてもどうしようもないから一緒に考えてくれないか？」

「いいよ」

俺が正直に話すと明西さんはすんなり受け入れてくれた。なんて思われてるんだ俺、そう思いながらもその優しさが逆に辛かった。

「花原さんと仲直りをしようと考えていたら、花原さんが笹本くんと付き合いだしちゃってなんかよけいに話しかけづらくなっちゃったんだよ。どうしたらいいと思う？」

考えながらそう聞いたら明西さんは一瞬落ち込んだ様な表情をした。しかしすぐにいつもの明るい笑顔になった。

「私が花原さんに話を聞いてくれるか聞いてあげようか？」

「それはありがたいけどこんなことお願いしていいの？相手は花原さんなんだよ」

明西さんが無理に明るい笑顔を見せている様に感じたから心配になって少しお願いするのを拒んだ。


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