†小悪魔の捕まえ方†
石倉のセーターから手を離し、
フラフラしながら自分の席に帰った。
郁也は哀れな目をしながら、
自分の座ってた席を空けた。
親指立てながら、
「どんとまいん」なんて言う郁也を
本気で殴りたくなった。
「宙くんさ。一応さ。
石倉にルールとか聞いといたら?」
「・・・・・・」
「ダメだ。うなだれちゃってる。
おーい、いーしーくーらー」
そのあと郁也が石倉を呼んで、
ひたすら石倉は俺に謝った。
そんで、俺にその『鬼ごっこ』とやらの説明を始めた。
鬼ごっこ。
鬼が人を捕まえて、
タッチされた人が鬼に代わる遊び。
誰しも子供の頃に遊んだことがあり、
地域によってもルールは様々。
そして学校で行われる鬼ごっこは、
俺ひとりが鬼役らしい。
ただ違うのは、
俺が追いかける役ではないこと。
俺はただひたすらに逃げるらしい。