Black in White
「お待たせしました」
そう微笑みながら“まっちゃんスペシャル”を持って近付くと、彼の足元にスーパーの袋が無造作に置いてある事に気が付いた。
中には猫の餌らしきもの。
そう認識したと同時にとある事を思い出して思わず声を上げていた。
「あっ、もしかして…それ」
「ん?あ、いや、これは…」
急に指摘された彼は決まりが悪そうな顔で少し狼狽えた。
「もしかして、グレーの子猫を探してたの?」
小春が勢い良くそう言うと、何故それを、と言わんばかりの表情で彼は目を丸くした。
「あ、ごめんなさい、あたしったらつい嬉しくて…。あなた、公園で子猫に餌あげてたでしょ?たまに見かけてたの」
「み…」
見てたのか、と言うような顔のままで、彼は少し照れたようにぶっきらぼうに言った。
「…だ、誰にも言うなよ!特に同じ制服着た奴!」
「え、どうして?」
心底不思議に思っているというような小春の眼差しに、彼はやけくそのように付け足した。
「似合わねーだろ!つか、…恥ずかしいだろっ」
「……?分かりました」
何が恥ずかしいんだろう?そうは思ったが相手は一応お客様である事を思い出し、素直に頷いておいた。