【長編】唇に噛みついて
◆1◆
出会いは、最悪!?
⌒⌒Kiyona
\/side
「何してんの……?」
雲ひとつない澄み渡る空。
心地よい春風。
そんな平和で過ごしやすい日とは裏腹に。
「いやっ……その」
無表情であたしは前でしゃがみ込んで焦っている彼氏を睨む。
その後ろのベッドではシーツで体を隠し、あたし達を気まずそうに見つめる女の人。
あたし……柏原聖菜(カシワバラ キヨナ)23歳は、今彼氏の浮気現場っていうのに遭遇中。
上半身裸であたしにペコペコ頭を提げてくる彼氏。
その姿を見てあたしは沸々と怒りが込み上げてくる。
「あんた自分が何したか分かってるの!?」
「ホンットーにすんません!!」
そう言って土下座をする彼氏にあたしは怒鳴る。
「最低!」
最低最低最低!!
人間のクズだ!クソ野郎!!
「どういう事!?何で浮気なんてしたの!」
「それは……」
言いづらそうに目を逸らす彼氏をあたしはジーッと見つめる。
そしてあたしの視線に負けた彼氏は重い口を開いた。
「お前……性格きついし。一緒にいたい時いてくんなかったし。だから……つい、魔がさして」
はぁ?
「それって……全部あたしが悪いって訳?」
性格?
それは生まれつきです!!
一緒にいてくんなかった?
それはお前が忙しいってデートしなかっただから会えなかったんだろ!!
あたしだって頑張ってお前に合わせようとしてたのに。
合わせる努力してなかったのはお前の方だろう!
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