【長編】唇に噛みついて
「さっきはありがとな……。嬉しかった」
「えっ?」
さっき……?
って、あの女の子達に言った事、かな?
考え込んでいると、ふいに目に止まった見つめてくる整った顔に顔がボッと熱くなる。
すると須藤はニッと意地悪な笑みを浮かべて、腰に腕を回して撫でる。
「きーちゃん家、帰ろっか」
その言葉にまた顔が熱くなる。
一緒に帰るなんて……絶対、絶対!!
「嫌!」
バンバン!と広がる花火の大きな音と共に、あたしの叫び声が響くのだった……。