【長編】唇に噛みついて
紅い痕
⌒⌒Kiyona
\/side
「いいじゃん」
「ぜーったい嫌!」
ベッドにあたしを追い込んで、意地悪な笑みを浮かべてそう言う須藤。
そんな奴にあたしは首を大きく横に振った。
数時間前。
あたし、柏原聖菜は、5歳年下の須藤零と両想いってやつになった。
それは嬉しい事なんだよ?
あたし、悔しいけどこの狼野郎の事好きだったから。
でもね?今はそんなの関係ないの。
1時間前。
花火大会も終わり、あたし達はマンションへ帰った。
でも何故か、行き着く先はあたしの部屋。
「は?何で須藤も入ってくるの?」
玄関を開けて、その後をついてきた須藤にあたしは首を傾げる。
すると須藤は平気な顔で口を開く。
「は?何とぼけてんの?恋人同士部屋に入って、ヤる事は1つだろ」
っな!?
こいついきなり何を言い出すんだ!
ヤるとか言うな!はしたない!
「知らないわよ!さっさと帰って!」
あたしは真っ赤な顔で須藤の胸を押して部屋から追い出そうとする。
でも、すんなり素直に出て行く奴ではない。
あたしの腕を掴んでニヤッと嫌な笑みを浮かべる。
「何きーちゃん、赤くなってんのお?あ、想像しちゃったの?エローイ」
「な!?エロイのはどっちよ!」
須藤の言葉にギョッとしたあたしは、そう言って須藤を睨む。
すると須藤は顔色ひとつ変えずに口を開く。
「あ?俺だけど?」
って!開き直り!?
呆れた……。
平気で変態発言できる須藤にため息をついていると、須藤はあたしの横を通り過ぎていく。
は!!
横を通り過ぎていく気配に、我に返ったあたしは部屋の方へ体を向ける。