【長編】唇に噛みついて


次の日。つまり、月曜日。
あたしは少し疲れ気味で会社へ向かった。


だって……あれから須藤はあんな調子で。
振り回されっぱなしだったから。


居眠りなんかもしてしまったり、今日の調子は最悪だったけど。
あたしはようやくやってきたお昼に、少しテンションが上がった。
真弓と食堂へ向かって、あたしは焼肉定食を頼んでテーブル席へ腰掛けた。


「いっただきまーす♪」


あたしは両手を合わせてそう言うと、お箸を手にした。
するとそれと同時に食堂へ2人組みが入ってくる。


「あ、柏原と真弓!」


その声にあたしはギョッとする。


げっ。
水谷と……。


「あ。聖菜ちゃん、こんにちは」


……品川。


あたしはウキウキなお昼タイムをぶち壊されて、あからさまに嫌な顔をした。
キッと2人を睨むと、品川はニコッとあのキモい笑顔を見せた。


「相変わらず素直だね、聖菜ちゃん」


「相変わらず笑顔がキモいですね、品川さん」


あたしは作り笑いを浮かべてそう言った。


マジキモい。
てか、何であたししか話しかけてこないのよ。
真弓もいるでしょうが!!


沸々とこみ上げてくる怒りを堪えていると、当然のように水谷と品川はあたし達の座っているテーブルに腰掛けた。


はぁ!?


「何でここ座るのよ」


隣の席にまたまた当然のように座る品川をあたしは睨みつけた。
すると品川は微笑みながら口を開いた。


「そんな嫌そうな顔しないでよ。オレと聖菜ちゃんの仲じゃない」


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