【長編】唇に噛みついて


マジ消え失せろ!品川!


「別にあんたとは無関係だから」


そう言ってフイッと品川から顔を逸らした。
その直後、品川は口を開いた。


「あれ?聖菜ちゃん、その首筋と鎖骨にあるのって……キスマーク?」


……はい?
きすまーく?
キス、マーク?


キョトンとしていると、真弓と水谷もその単語に反応してあたしを見つめてくる。
そして首筋と鎖骨を覗きこむ。


「うわ!マジだ!」


「あんた……まさか須藤くんと!!」


え!?


あたしは咄嗟に首筋と鎖骨を隠して、ポケットから手鏡を出す。
そして慌てて鏡を覗き込んで見てみると、言葉を失った。


……首筋と鎖骨に、くっきりと浮かぶ紅い痕。


そうだ……、土日。
須藤に吸われたあの感覚を思い出す。
あの時……つけられてたんだ。
全然気づかなくて、そのままで来ちゃった!!


バッと3人の顔を見ると、3人して何か意味深な笑みを浮かべている。
すると真弓は口を開いた。


「聖菜……須藤くんと」


「してません!!」


してません!
やってません!


バン!!っとテーブルに手をついて、あたしは否定をする。
でも水谷はニッと笑ったまま言う。


「へぇー高校生なかなかやるなぁ」


ば!!


「何もしてないから!」


< 125 / 286 >

この作品をシェア

pagetop