【長編】唇に噛みついて
「あのさ……。何でそんな嬉しそうな訳?」
こんだけ言ってるのに。
何でそんな笑ってる訳??
「何でだろうね。聖菜ちゃんが構ってくれて嬉しいのかな」
は……?
こいつもしかして……。
……M?
「キモ……」
「そんな軽蔑するような顔で見ないでよ」
そう言って品川は微笑む。
てか……。
ホントにこいつ……読めない。
だから嫌いだ。
キッと睨んで、それでも微笑んでいる品川を見て、あたしはため息をついた。
そして逃げるように歩き出して会社を出る。
すると品川はあたしの後をついてきた。
「待ってよー聖菜ちゃん」
って!!
ついてくるなぁ!!
あたしは振り返って、フーフー!!っと猫のように威嚇した。
するといきなり後ろから首根っこを掴まれた。
……え!?
驚いて振り返った瞬間。
「何してんの?」
そう言って不機嫌そうな須藤が立っていた。
髪もバッチリ相変わらず決まってて……格好いい。
思わず見惚れていると、須藤は口を開いた。
「うちの猫……返してもらうんで」
そう言って須藤はあたしの首根っこを掴んだまま、歩き出した。
猫!?
ってあたしがか!?
失礼な!あたしは人間だっつーの!!