【長編】唇に噛みついて
どうせあんな奴みたいな奴ばっかでしょ?
それに餓鬼なんて嫌。
あたしは年下より年上がいいの。
紳士的で優しい人がいいの。
てか、今。
あたし男作る気ない。
それくらい今回の失恋にショック受けてるの。
後ろでギャーギャー言ってる真弓に溜め息をついて、あたしは食堂を出た。
仕事場に向かう途中。
あたしは後ろから声をかけられた。
「お、柏原じゃん」
その声を聞いてあたしは振り向く。
するとそこには水谷。
ヘラヘラ笑いながらあたしに近づいて来た。
「よぉー昨日はホントに酒だけ飲んで帰ったらしいな」
そう言ってあたしの肩に手を置いた。
「すごい人だったって弟言ってたぞー?」
「あっそ」
知らないわ。
そんな事。
てか、弟……いたんだ。
どうでもよくてちゃんと見なかった。
てか……。
あたしは水谷の胸座を掴んだ。
「あんたのせいで……散々だったわよ!」
「は!?」
「あんたが無理矢理連れてったせいで、あたしは胸くそ悪い奴に馬鹿にされたんだから」
あいつよ!
あいつ!!
名前も知らないけど、あのイケメン野郎!
すると水谷は苦笑いした。
「えぇ……おれに言うなよぉ」