【長編】唇に噛みついて
そう言うと、須藤は無表情で言う。
「今日は何の日?」
「……須藤の誕生日」
「知らなくてプレゼント用意してくれてないんだよね?」
「そ、それはっ……」
須藤が言ってくれなかったから。
ううん。あたしが聞かなかったからだよね。
何も言えなくてあたしは、眉を下げる。
すると須藤はあたしの頬を優しく撫でて、呟いた。
「だったら俺が欲しいものを貰う。だから、きーちゃんをちょうだい」
そう言って須藤はあたしの唇を奪う。
そのせいであたしの思考回路は停止。
何も考えられなくなってしまう。
すると須藤は脱力してしまったあたしを抱っこして、須藤は自分の家へと入った。
その頃少し回復したあたしは、慌てて須藤の胸を押した。
すると須藤は不機嫌そうに言う。
「今日は何の日?」
「うっ……」
「今日1日俺の言う事聞いてくれるよな?」
そう言って須藤はあたしを抱き寄せる。
あぁ!もう!
誕生日知らなかったあたしが悪いんでしょ!?
分かったわよ!
何だって聞いてあげるわよ!
もうやけくそだった。
「分かったわよ!」
そう言うと、須藤は満足そうに微笑んだ。
「じゃぁ、俺の言う事聞いてくれる?」
「聞くわよ!」
「ホントに?」
「ホントに!」
そう言うと、須藤は微笑んだ。