【長編】唇に噛みついて
すると須藤は、フッと微笑みそしてすぐに無表情に戻す。
「……話換えようとしてんじゃねぇぞ」
あわわわ……。
やっぱり、バレちゃってます?
内心パニックになりながらも、あたしは首を横に振った。
「そ、そんな訳ないじゃん!」
そう言うけど、あたしの笑顔は引きつる。
すると須藤は無表情であたしの顔を見つめてきた。
「ふーん」
この、信じてませんよって言いたそうな反応!
絶対信じてない!
沸々とこみ上げてくる叫びを堪え、あたしは必死で笑顔を維持した。
笑顔に限界を感じてきだした頃。
須藤はあたしの顔を覗きこむようにして言った。
「じゃぁ、俺のほしいもの何でもくれる?」
何だか……。
嫌な予感はするけど。
「うん。あげるわよ」
そう言った瞬間、須藤はニッと笑って、あたしの両腕を掴み、あたしをベッドに押し倒した。
……あ、れ?
何が起こったのか、まったく理解できずあたしはあたしを見下ろす須藤の顔をボーっと見つめた。
そんな間抜けな顔をしているであろうあたしを、見下ろす須藤は右端の口角を上げ微笑む。
「だったら……きーちゃんをちょうだいよ」
ッボン!!
あたしの頭の中が爆発した音がした。
それは……。
そういう意味ですよね?
……無理、無理無理!!!
「それは無理!」
そう言ってあたしは須藤を睨んだ。