【長編】唇に噛みついて
そうやってすぐにそっちへ話を持っていこうとする!
須藤は……。
ヤれれば、それでいいのかなぁ?
あたしは……。
それだけになっちゃうの嫌なのにな。
てか、あたしの存在価値って。
ヤる……だけ?
何か、悲しくなってきた。
ムッとしながら涙目になっていると、須藤は不機嫌そうにムスッとした。
「俺にとっては最高のプレゼントなんだけど」
「知るか!そんなの!」
この変態!
「あんたって……それしか、頭にないの?」
睨みながら聞いてみると、
「うん」
の即答。
……はぁ。
あたしは大きなため息をつく。
すると須藤は無表情で口を開いた。
「でも男なら、誰だってそうじゃない?」
「あんたは異常!」
他の男だって……須藤よりはマシな筈!
そう思い、あたしはキッと須藤を睨みつけた。
そんなあたしを見て、須藤は真剣な顔をした。
「好きな女がいたら……誰だって触れたいって思うだろ」
「えっ……?」
聞き返すと、須藤はまっすぐにあたしの瞳を見つめた。
「好きな女に触れたいって思う事って、おかしい事?」
そ、それは……。
「おかしくない」
当然の、事なんだよね。
だって、あたしだって……。
思うもん。
須藤の傍にいたいって、思うもん。